コミュニケーションで陥る落とし穴
コミュニケーションという言葉は、世間一般で広く使われています。
ビジネスでもプライベートでも、その重要性や活用法について語られている書籍、メディアでの言及などは多岐にわたります。
コミュニケーションの技法や対人スキルなど、様々な方法論がある中で、このような場面をよく目にするかと思います。
・あの人とは上手くコミュニケーションが取れない
・コミュニケーションが上手く取れないから人間関係が上手くいかない
・コミュニケーションが原因で失敗した
・コミュニケーションが上手く行えず、会議の進行に支障をきたした
・コミュニケーション能力の低下により、若者は仕事ができない
・もっと密にコミュニケーションを取りましょう
・コミュニケーションが上手く取れず、患者様との関係が悪くなった
・コミュニケーションが上手く取れず、多職種連携が上手くできない
・コミュニケーションの不足により…
などなど様々な場面で、コミュニケーションを取る機会の減少やコミュニケーション能力の低下を原因に据え、問題点について議論していることが多いです。
この様な時は、問題点が明確なようでいて、すごく曖昧になっており、モヤモヤした議論となり易いかと思います。
コミュニケーションという言葉は、様々な場面において、『逃げ』の言葉として使われてしまっています。
そして何よりも、我々人間は通常、言語を通じて意思疎通を図る為、そこに問題の本質を持っていきがちなのは仕方ない側面もあります。
ここでは、そのコミュニケーションについて少し掘り下げていきたいと思います。
コミュニケーションとは?
まず、コミュニケーションとはどういうものなのか?
【コミュニケーションの定義】
コミュニケーションとは、「社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達」(広辞苑)と記されています。
そのコミュニケーションは、
①送り手が受け手に対して何らかのメッセージを伝達
②受け手がそれを理解することで成立
③もし、受け手が理解できない場合は、理解できないことを送り手に伝達(立場)
④場合によってはこれらが連続する形で最終的に受け手が理解することになる
という要素に分解することができます。
有名なP.F.ドラッカーは、著書『マネジメント 基本と原則(エッセンシャル版)』(2001)ダイヤモンド社にて、
「コミュニケーションを成立させるのは受け手である。コミュニケーションの内容を発する者ではない。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。」
と述べています。
受け手の反応(言動・表情等)が自分のコミュニケーションの結果である。
こんなイメージでしょうか。
マネジメントとコミュニケーションの関連
リハビリ部門におけるマネジメントやリーダーシップにおいても、コミュニケーションが非常に重要となります。
そこでもこのようなことはよく聞かれます。
「リハビリをする上でコミュニケーションは最も重要だ」
「リーダーシップを発揮する上でコミュニケーションは重要だ」
「コミュニケーションって重要だけど人それぞれやり方が違うよね」
本当にその通りだと思います!!
もちろんリハビリ部門の中においてもコミュニケーションは重要な要素です。そして、誰もがそのことを理解しています。
しかし、先に述べたように、逃げの言葉として使われることが多く、コミュニケーション能力が低いと自覚していたとしても、自ら磨こうと努力しているスタッフは努力どれぐらいいるのでしょうか!?
マネジメントは、個人間だけではなく、部署間、他部門間といった集団同士のつながりをも調整していかなくてはなりません。従って、患者様や利用者様リハビリスタッフ個人間でのコミュニケーションが上手いというだけでは適用できません。私自身も、この壁にぶち当たった側の一人です。
となると何が必要となるのか?!
それは、コミュニケーション能力を通用する術とするための「理論」が必要となってきます。
コミュニケーションは、単なる意思疎通、伝えることだけでなく、「人を動かすこと」まで求められます‼︎
言語・非言語コミュニケーション
理論的なこととして、言語・非言語コミュニケーションについてまとめます。
皆さんもご存知のように、コミュニケーションには、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」があります。
言語コミュニケーションとは、文字通り、言語を用いたやり取りです。成立の要件として、共通言語、専門知識、文化、育った環境などが挙げられます。
非言語コミュニケーションとは、表情や視線、その他の身体的な動きや反応など、言語情報以外を用いて行われるものです。
ここで一つ参考となるデータを示します!
メラビアンの法則
アメリカの心理学者メラビアン教授が示した人の印象に関する概念。
人は相手から受ける印象を下記の割合で判断しているというもの。
言語情報 7%:話の内容、言葉そのもの
聴覚情報 38%:声のトーン、速さ、大きさ、口調
視覚情報 55%:見た目、表情、しぐさ、視線
読んでもらえればわかるように、非言語コミュニケーションの部分が93%を占めています。
この部分について学び、日々の仕事や日常生活へ取り入れていくことは、とても意義深いことであると言えます!!
このように聞くと、読むと、今すぐにでも意識して行い、コミュニケーションを円滑に進めたくなりますね。そして、すぐにでも解決しそうにも感じてしまいます。
しかし、非言語コミュニケーションは一筋縄ではいかないのが現状です。
それは、過去の習慣や癖といった無意識下において、「表情」「視線」「姿勢」「対人距離」「雰囲気(オーラ)」などが表出されるからです。
これを【武器】としていくためには、客観的に自分がどのような非言語コミュニケーションをしているのかを把握することが重要となります!
また、相手の非言語コミュニケーションに対しても注意を払うことも忘れないようにしてください!
言葉以上に様々な情報を得ることができるはずです!