PDCAサイクルとは?
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していく手法のことです。患者様・利用者様の理学療法・作業療法・言語聴覚療法を行う上でもよく使われている手法です。
まずは、PDCAのそれぞれの段階について詳細に説明します。
Plan:計画する
PDCAのP(Plan)とは、目標を設定し、業務計画を作成する段階のことです。
まず、解決したい問題や利用したい機会を見つけて理解を深めます。
そして、目標における情報を収集し、解決策を考え、計画を立てていきます。
ここまでがPの段階です。
Do:実行する
PDCAのD(Do)とは、Pの段階で立てた計画を実際にやってみる段階のことです。
問題を解決するための方法を見つけたら、少しずつ試してみてください。試す際にはその方法が有効だったか無効だったかも記録しておきましょう。次の段階で使えます。
注意点:Pの段階で立てた計画を実行するときには、最初から計画を完全に実行するのではなく、あくまでテストをしながら少しずつ実践しましょう。
Check:評価する
PDCAのC(Check)とは、計画に沿って実行出来ていたのかを評価する段階のことです。この段階で試してみた解決策の結果を段階①のPlan(計画)の時の予想と比較して分析し、解決策が有効かどうかを評価します。
Action:改善する
PDCAのA(Action)とは、実施結果を検討し、業務の改善を行う段階のことです。Pで計画し、Dでテストをした結果をCで評価し、最後のAで実行します。
注意点:PDCAはサイクルで、始まりも終わりもありません。最後のActionの段階が終了して改善した時点をまた新たにベースラインとして、より良い解決策を探し続けてください。
リハビリテーションにおいて
リハビリテーションの中でのPDCAサイクルと聞いてまず挙げられるのは次の点かと思います。
平成 27 年度の介護報酬改定により、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハと略す)に、 リハビリテーションマネジメントの手法が改めて示され、加算部分として点数化された。これ までリハビリテーションマネジメントは、訪問リハを提供するうえでの考え方として定着して きているが、今回はさらに、調査(Survey)、計画(Plan)、実行(Do)、再評価(Check)、改善 (Action)というプロセス、(SPDCA サイクル)の構築を通じて、心身機能のみならず、活動や 参加といった側面にもバランスよくアプローチするリハビリテーションの継続的提供に関す る管理を実施することを通して、質の高い訪問リハの提供を目指すものとして示されている。 とりわけ、そのプロセスにおいて、①利用者の活動と参加に焦点をあてた目標とアプローチを 意識すること、②医師の関わりや役割の強化、③ケアマネジャーはじめ利用者支援に係る職種 との協働を含む連携を充実させていくことが重要視されている。
※平成27年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
「通所・訪問リハビリテーションの適切な実施に関する調査研究事業」
訪問リハビリテーション マネジメントマニュアル
この時ぐらいから、リハビリテーションを実施する場や話し合う場において、「マネジメント」という言葉をよく耳にするようになったと感じています。私もその一人だと思います。
この際の「マネジメント」の意味合いとしては、患者様のリハビリテーション内容の管理、患者様の病棟での生活の管理、在宅では利用者様の生活状況の管理、今後の生活に対する改善点の管理などではないかと思います。
このような形で、私たちの仕事の場にもすごく馴染んできているPDCAサイクル
初期の計画を立てる上では、とても使いやすい考え方ではないかと思います。
一方で、リハビリテーションの現場では、日々患者様や利用者様の状態や生活は変化し、それらに対して迅速に・高速にDo(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返す必要があります。
そしてPDCAサイクルにおいては、その都度Plan(計画)を立てるために、評価や分析などの調査(Survey)が必要となります。
迅速に高速に対応するためには、少し余分な時間が掛ってしまいます。
加えて、初期に立てた、大きなPlan(計画)は基本的には変更しないはずです。
これらのことを踏まえると、リハビリテーションをスムーズに進める上で、そして様々な仕事を進める上でもPDCAサイクルのみでは間に合わない、無駄なサイクルや作業が増えてしまうことになります。
ここでPDCAサイクル+αで使うべき効果的な行動のためのモデルがあります。
+αの提案
+αのモデルとは、
行動の基本的構造:T.O.T.Eモデル
です。
‘‘未来の目的へ向けた追求と、その達成手段の選択は、現象における精神の存在の痕跡と規準である’’
ウィリアム・ジェームスー心理学の原理
T.O.T.Eの文字は、それぞれTest(テスト)、Operate(操作)、Test(テスト)、Exit(退出)を表します。
概念として、固定のゴール(望ましい状態)と、そのゴールを達成するための可変な手段を含むあらゆる心的、行動的プロセスに当てはまります。
私たちは考える時、心の中で(意識的または無意識的に)ゴールを設定します。
そして達成できるかどうか‘‘Test(テスト)’’します。
ゴールが達成できていなかった時に、ゴールに近づくために何かを変えたり、他の行動を取るなどの‘‘Operate(操作)’’を行います。
再度‘‘Test(テスト)’’をしてみて、基準が満たされれば、私たちは満足して次のステップに向かって‘‘Exit(退出)’’します。
- 望ましいゴールが明確であること。
- 進捗状況を正確に判断するために、ゴールが達成できたという五感に基づく証拠(エビデンス)があること。
- ゴールに到達するための様々な操作の手段を持ち、それらの手段を実践できるような行動の柔軟性があること。
基本的にT.O.T.Eモデルとは、自動修正式のフィードバックのループ(回路)です。効果的に学んだり、行動するためにはフィードバックが必須というのが、効果的学習と行動のカギとなる特徴です。フィードバックなくして学びはありません。
NLP-JAPANラーニング・センター
http://www.nlpjapan.co.jp
そして考えてみてください。
柔軟に、その都度考えて行動を変えられている時は、生活でも仕事でも上手くいっていませんか?
逆にいつも同じような失敗を繰り返していませんか?
これらをこのT.O.T.Eモデルに当てはめて考えてみるとすごくしっくりきます。
リハビリテーションの現場でも同じことが言えますね。
初期に対して立てた目標、例えば杖で歩けるようになるという目標に対して、毎日の訓練を毎日変更している。
これはT.T.O.T.Eモデルを高速で回しているというこではないでしょうか。
その時の行動や感情、相手の反応に応じて、柔軟に回せるということがポイントです。PDCAサイクルのようにその都度評価や計画を必要としていません。
提案としては、
PDCAサイクル+T.O.T.Eモデル
もしくは
PDCAサイクルの中にT.O.T.Eモデルを組み込む
という考え方はいかがでしょうか?!
無意識で行っていたことを、意識的に行うこと
これが重要です。